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雄島・大湊神社

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更新日：
　2021年6月6日

◎雄島（2021年4月4日）
　雄島は東尋坊の北、約2kmの位置にある周囲約2kmの島です。島の総面積は10.2ヘクタール（東京ドーム2個分くらい）で、標高は27mですが、越前海岸でもっとも大きな島です。海岸線から300メートルしか離れていないため、陸地と雄島橋（全長224m、歩行者専用）という朱塗りの橋で結ばれており、気軽に上陸することができる島です。さらに島内をぐるっと一周できる約2kmの散策路が整備されています。
　雄島に初めて橋が架けられたのは1937年（昭和12年）で、現在の橋は1981年（昭和56年）に竣工された2代目だそうです。雄島はその昔、本土と陸続きで、長い年月をかけて切り離されたそうです。現在の橋が架かっている位置は水深が最も浅く、高い波が海底に当たって通り抜けることができないため、波がやってくる方向の反対側の海は、穏やかな海となっているそうです。このため、橋の両側の波の様子を観察すると、一方からは大きな波が打ち寄せているのに、反対側では波が穏やかになるという不思議な現象に出合うことがあるそうです。
　雄島は、今から約1300万年前に噴出したマグマが冷え固まって形成されたといわれています。雄島を形成する火山岩は主に流紋岩（りゅうもんがん）で、マグマが流動しながら冷え固まるときにできる、美しい縞模様がみられる岩です。
　南海岸では、日本海の荒波や風で侵食されてできた柱状節理（長い柱を重ねたような形）を見ることができ、西海岸では板状節理（薄い板を重ねたような形）という岩肌を見ることができます。東尋坊も含めて国の名勝天然記念物に指定されています。
　島内には約1370年前（白雉年間：西暦650年～654年）に創建された大湊（おおみなと）神社があります。大湊神社は海での無事を祈願して祀られた神社です。航海、漁業の守護神として崇敬されています。雄島内に本殿がありますが、陸地側の安島地区に拝殿があります。昔は雄島へは、舟でしか行けませんでした。このため悪天候が続くと、何日も宮司が島へ渡ることができず、神事を執り行うことができなかったため、神事の実務的なことをする拝殿を陸地側に設けたそうです。雄島は、地元の人々には昔から「神の島」とあがめられているそうです。
　雄島橋を渡ると、最初にあるのが大鳥居です。この鳥居は1927年（昭和2年）に作られたそうです。当時は橋がないため、鳥居そのものも、それを組み上げる巨大な木材なども、船を使って運んだそうです。参道の両脇に鎮座する狛犬の土台となって積み重なっている岩は、雄島を形成する岩（流紋岩）です。
　鳥居をくぐると急な石段が目の前に現れます。78段の石段があります。この石段に使われているのも流紋岩です。石段を登った先は突き当りで右と左に分かれます。案内があるので、左に行くと、大湊神社があります。
　大湊神社は、源義経が九州、平泉へ落ち延びる際に家臣の兜を献上したとか、戦国武将、朝倉義景の庇護を受けていた際に明智光秀が訪れて漢詩を詠んだという伝説も残っているそうです。永禄年間（1558年～1569年）に朝倉義景が一門の祈願所と定めましたが、織田信長に滅ぼされるとともに大湊神社は織田信長の兵によって焼き払われ、焼失してしまったそうです。
　現在の本殿は1621年（元和7年）に福井2代藩主、松平忠直公が武運長久、国家安全の祈願所として再建したものだそうです。この本殿は桃山様式を取り入れた一間社流れ作りの柿萱で、中には伊邪奈岐命（いさなぎのみこと）のけやき一木彫の座像が安置されており、本殿、拝殿ともに福井県の文化財に指定されています。
　大湊神社の海側には、鳥居があります。ここからは対岸の東尋坊がよく見えます。隠れた絶景スポットかもしれません。