海龍王寺、隅寺

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更新日:
 2021年9月26日




◎海龍王寺(2021年4月11日)
 海龍王寺(かいりゅうおうじ)は、奈良県奈良市法華寺北町にある真言律宗の寺院です。その歴史は平城京以前にまでさかのぼるそうです。
 710年(和銅3年)に平城京に都が移された際、藤原不比等は、この一帯を治めていた土師(はじ)氏から土地を譲り受け、この地に邸宅を構えたそうです。この時、北東隅に土師氏ゆかりの寺院があったそうですが、その寺院は壊さずに残したそうです。この寺院が海龍王寺の前身だそうです。北東隅にあったことから「隅寺(すみでら)」とも呼ばれたそうです。
 720年9月9日(養老4年8月3日)に藤原不比等が亡くなると娘の光明皇后(第45代天皇、聖武天皇の皇后)が相続し、邸宅は皇后宮となり、北東隅の寺院は「皇后宮内寺院」になりました。
 731年(天平3年)、遣唐留学僧として唐に渡っていた僧、玄ム(げんぼう)の帰国を控え、無事に帰国して最新の仏教、仏法を日本に持ち帰ることを願った光明皇后は「皇后宮内寺院」の伽藍を整備しました。
 734年(天平6年)、唐を出発した玄ムは、帰国の途中、東シナ海で暴風雨に襲われたそうです。この時、「海龍王経」を一心に唱えたところ、九死に一生を得て、かろうじて種子島に漂着し、翌735年(天平7年)、経論5000巻の一切経と諸々の仏像を携えて平城宮に戻ってきました。
 聖武天皇、光明皇后は最新の仏教、仏法だけでなく、鎮護国家の基礎となる仏教政策を学んできた玄ムを重用し、いつでも自由に意見を求められるよう内裏に近い「皇后宮内寺院」の住持に任じました。住持に任じられた玄ムは、寺号を「海龍王寺」と改めました。また、唐の洛陽宮にならい、「海龍王寺」を「平城宮内道場」と定め、伽藍の拡充および収蔵する経典などを充実させました。また、密教にも通じていたことから聖武天皇、光明皇后、聖武天皇の生母である藤原宮子のために祈願、祈祷をしたことで天皇家との関わりが強くなり、「海龍王寺」は「天皇家の私寺院」となり、「宮廷寺院」として天皇家を支えていきました。
 奈良時代は「宮廷寺院」、「宮中内道場」として繁栄したものの、都が平安京に移ると、平城京の衰退とともに海龍王寺も衰退していきます。鎌倉時代になり、真言律宗の宗祖である叡尊(えいそん)が1236年(嘉禎2年)から1238年(暦仁元年)まで住んで伽藍の復興を行い、戒律の道場として栄えました。
 1365年(貞治4年)には第13代信尊和尚、1379年(康暦元年)には第15代貞泉和尚、1457年(長禄元年)には第28代元澄和尚、1538年(天文7年)には光淳和尚、1766年(明和3年)には高瑜和尚と、1365年(貞治4年)から1766年(明和3年)の間に海龍王寺から5名の西大寺長老を輩出し、真言律宗の中でも筆頭格の寺院になりました。
 しかし、室町時代に起きた応仁の乱の影響を受け、江戸時代まで衰退した状態が続きました。江戸時代になると徳川幕府から知行百石を与えられ、これを元に伽藍の維持、管理を行ってきました。明治に入ると廃仏毀釈によって東金堂および什物(秘蔵の宝物)を失ってしまいました。その後、1953年(昭和28年)まで荒廃したままだったそうですが、1965年(昭和40年)〜1967年(昭和42年)にかけて西金堂、経蔵の解体修理が行われ、現在に至っています。
 境内には創建当初からの建物である西金堂(重要文化財)があります。また、堂内に安置されている高さ4mの五重小塔(国宝)が残り、この五重小塔は天平時代に作られた塔の中で唯一現存している五重塔として価値が高く、西金堂とともに天平時代の建築様式を現代に伝える貴重な建物となっています。江戸時代に建てられた本堂には、鎌倉時代に造立された本尊の十一面観音立像(重要文化財)が安置されていますが、1953年(昭和28年)までは秘仏となっていたおかげで保存状態が良く、たくさんの装身具を身につけていることに加え、切金文様がふんだんに使われた衣の文様や模様と相まって、華麗なお姿となっているそうです。
 また、玄ムは般若心経の流布、講釈を熱心に行い、海龍王寺にて般若心経の写経を盛んに行っていたそうです。光明皇后、弘法大師も写経をされており、写された般若心経は海龍王寺の別称「隅寺」の名前を冠して「隅寺心経(すみでらしんぎょう)」と呼ばれ、奈良時代を代表する天平写経として珍重されてきたそうです。なお、弘法大師筆とされる般若心経(隅寺心経)が伝えられているそうです。









・海龍王寺
 住所:奈良県奈良市法華寺北町897
 電話:0742-33-5765
 営業時間:9:00〜16:30
 駐車場:有
 定休日:8月12日〜18日、12月24日〜31日
 アクセス:JR、奈良交通、西大寺・航空自衛隊前行きバス、法華寺前、下車すぐ