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更新日:
2019年4月26日
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◎十輪院(じゅうりんいん)(2019年4月11日)
十輪院(じゅうりんいん)は、奈良県奈良市十輪院町にある真言宗、醍醐派の寺院で、十輪院の寺名は「地蔵十輪経」に拠ったものと考えられています。元正天皇(715年〜724年)の勅願寺で、元興寺の一子院といわれ、遣唐使で右大臣、吉備真備の長男、朝野宿禰魚養(あさのすくね・なかい)の開基と言われています。本尊は石造の地蔵菩薩で、鎌倉時代には地蔵信仰の中心地の1つとして近くにある「福智院」とともに栄えたようです。
「十輪院」の名は、弘安6年(1283年)に成立した無住道暁が編纂した鎌倉時代の仏教説話集、「沙石集」にあり、本尊の石造地蔵菩薩を「霊験あらたなる地蔵」として記載しているそうです。室町時代の末期、天正13年(1585年)までは寺領三百石、境内は1万坪の広さがあったようですが豊臣秀長に没収され、また兵乱によって堂宇、宝物なども失われてしまいました。
その後、慶長7年(1602年)に、徳川家康よって添上郡肘塚町、法華寺町内に寺領50石の寄進を受け、本堂、石仏龕の修復などが進み、一般大衆の地蔵信仰の高まりと相まって次第に寺勢は興隆したそうです。
明治時代の廃仏毀釈でも大きな打撃を受け、校倉造の宝蔵を手放すなど寺勢は衰えましたが、昭和に入り、1955年(昭和30年)に本堂、南門の解体修理、1962年(昭和37年)に不動堂の修理、1976年(昭和51年)に御影堂の解体修理が行われ、1996年(平成8年)には防災施設が完成し、現在の姿を整えることができました。
本尊の地蔵菩薩像は、本堂の中に造られた石の厨子「石仏龕(せきぶつがん)」の中に納められています。「龕(がん)」とは、仏像を納める厨子を意味します。すべて花崗岩の切石を用いて築造されており、龕中央に本尊地蔵菩薩、その左右に釈迦如来、弥勒菩薩を浮き彫りで表しています。そのほか仁王、聖観音、不動明王、十王、四天王、五輪塔、あるいは観音、勢至菩薩の種子(しゅじ:シンボルとなる文字)などが地蔵菩薩の周りに巡らされ、極楽往生を願う地蔵世界を具現しています。
龕前には死者の身骨や棺を安置するための引導石が置かれており、龕の上部、左右には北斗七星、九曜、十二宮、二十八宿の星座が梵字で陰刻され、天災消除、息災延命を願う現世利益の信仰も窺い知ることができます。また、引導石の左右には南都仏教に伝統的な「金光明最勝王経」、「妙法連華経」の経幢が立てられています。この石仏龕は当時の南都仏教の教義を基盤に民間信仰の影響を受けて製作されたものです。
本堂は石仏龕を拝むための礼堂として鎌倉時代に造られた住宅風仏堂です。屋根は一重寄棟造、本瓦葺です。本堂は国宝に指定されており、南門、石仏龕は重要文化財に指定されています。
・南門

・本堂

・十輪院(じゅうりんいん)
住所:奈良県奈良市十輪院町27
電話:0742-26-6635
営業時間:9:00〜16:30
定休日:月曜日
料金:500円
駐車場:有
アクセス:JR、奈良駅から天理駅行バス5分、「福智院町」下車、徒歩約3分
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